糖度高めな秘密の密会はいかが?
身辺調査ってドラマの世界みたいで、何だか笑ってしまった。

良かれと思って、お爺様が独断で私と家族の身辺調査をした事に対して、お祖母様と社長が激怒したらしい。

『貴方は婿養子の分際で、花野井家気取ってんじゃないわよ。ゆかりさんを私が気に入ってるんだから身辺調査なんて必要なかったのよ!』とお祖母様が激怒して、お爺様が深々と謝ったらしく、その時の出来事を話しながら有澄が笑っている。

やっぱり、花野井家は女性優位なんだなと思った。

「こないだから言ってるけど、ゆかりが嫌だったら花野井グループなんて捨てればいいよ。勿論、ここにも住まなくてもいい」

「…それも嫌っ」

「俺には二択しかないから、捨てるか継ぐかの二択。ゆかりと離れる選択肢はないから…どちらにしても、お嫁さんになって貰うんだけど…」

「…有澄、大好き。有澄の家族も勿論好き。でも、…」

「じゃあ、この話は保留ね。結論は急がなくてもいい。けど、…」

有澄がさり気なくポケットからハンカチを取り出して、私に手渡す。

その時に一緒に出したのか分からないが、何処からともなく出した指輪を私の左手の薬指にはめる。

「ゆかりは予約って事で」

「………!?」

「結婚するにも時間がかかりそうだし、その間に悪い虫が寄らないようにお守り。…何で、また泣いてるの?まったく泣き虫なんだから…!」

有澄は私の事を床に押し倒して、頬に流れた涙を手で拭くように優しく触れて、目元にキスをする。

目と目が合うと私は有澄の頬に手を伸ばし、キスをせがんだ。

「この続きは…帰ってからね」

有澄は手を差し伸べて、私の身体を起こす。

私達はマンションを出て薄明かりの中を歩く。

そう言えば夕飯を食べてない事に気付き、帰り途中に良さげのカフェを見つけたので立ち寄った。
< 209 / 216 >

この作品をシェア

pagetop