俺がずっと守るから
「言ってるだろ。お前はつまんなさすぎる」
「ですから、」
「自分の考えが全てではないと思うが?」
賢木さんの言葉に思わず口を紡いだ。
俺の考えが間違ってるとでも?
そう言いたいけど賢木さん相手だとどうも口にできない。
俺が何も言わなくてもこの人なら心情だろうとなんでも読み取ってしまうんだろうな。
「とにかく、あと1時間程で司様が戻って来られる。準備してこい」
「はい」
切り替えの早い賢木さんはそう言って話を切り上げた。
内心これ以上聞かれなかったことにホッとしながら、俺は賢木さんの言葉を頭の中で繰り返す。
自分の考えが全てではない、か。
実際俺自身も何が正しいのかは分からない。
彩葉が欲しい。けどそれは許されない。
ただひたすら、そんな感情の渦をコントロールするだけで精一杯なんだ。