俺がずっと守るから
頭の中が疑問でいっぱいになる私とは裏腹に、李樹は特に驚く様子もなく兄様の後をついていこうと歩き出す。
けど、すぐに振り返って私のところまでまた戻って来た。
「少しの間だけ、離れます。お嬢様、見ていてください」
「…李樹……?」
意味深な言葉を残した李樹は、そのまま再び遠ざかっていく。
代わりに私のそばには賢木が付いたけれど、私はそれどころではなかった。
いよいよ当主発表の時間になり、電気が落とされた会場内。
「いよいよだね、彩葉ちゃん」
そう言って、麗美さんは私の背中をポンと叩いた。
「本日は、我が皆月の世代交代の場にお付き合いくださりありがとうございます」
ステージにだけライトが当たり、父様の挨拶が淡々と進み始める。
まだステージ上には兄様も、もちろん李樹もいない。