俺がずっと守るから
彼────椎名李樹(しいなりき)の視線の先は、窓の外。
さっきまでしつこく監視していた何者かを上手く負けたようだ。
イチャついていた理由は、まさにこのため。
私、皆月彩葉(みなづきいろは)と李樹は、この高校2学年では有名なバカップル。
だからこそ、誰も不審には思わない。
あまりにもバカップルが過ぎているのか、最近では他学年のはずの1,3年生にも知られてきているらしい。
どっちかと言えば、李樹が私を溺愛しているというのが周りの評価。
口数は少なくもないが、多くもない。
周りの女子とは必要最低限関わらずに、私のそばにいるのが当たり前な李樹。
「彩葉、帰るぞ。ん、手」
帰るときだって常に手は繋ぐ。
私が道路側を歩くことは決してないほどの徹底ぶりだ。