紳士的?その言葉、似合いません!



言い方は悪いが的を得たものであるのが何やら悔しい。だがそんなに酷い顔をしているだろうか。


そう聞けば普段が正統派な貴公子なだけにその腹黒さが強調されていると真面目な顔で言われた。本能のままに行動して周りを掻き回す鷹斗よりも理性的でいいと思うんですけどねぇ。


クスクスと笑みをこぼしながら頭の中でこれからの行動を組み立てる。まぁそうは言ってもしばらくは現状維持、という感じでしょうか。こればかりは仕方ない。


だが諦める気は毛頭ないし、待つことは嫌いではない。最後はきっと自分のものにできると確信しているからこそ、その時間は楽しみでしかない。


自分のことは自分がよくわかっているし、一度自分のものにしたいと思ったのならこの感情が薄れることはないだろう。


そういえば、とふと思う。人に執着を感じることに覚えはあるが異性に対しては初めてかもしれない。それも仕事関係や損得勘定無視の個人的な感情では。


となるとこれは私にとっての所謂初恋というものになるのだろうかと考えてなんだか笑えてきてしまった。私もこれで鷹斗のことを言えないな。



「あぁ、楽しみだ」



あの良くも悪くも凛とした彼女を自分の腕の中でだけ感情を乱させて、泣かせて、怒らせて、縋り付かせたい。そして閉じ込めて独占したい。


普段隠している幼な子のような繊細な心を暴くことを想像し、恍惚とした気持ちで微笑んだ。





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