向日葵にさよなら。
 
「いや、その……実は、倉本のことが心配になって、病院にいこうとしただけで……ごめん、引くよねこんなの」

 適当にごまかせばいいのに、どうしてできないのだろう。
 いままで他人に本音を話すことなんてなかったのに、彼女の前だと調子が狂ってしまう。

 ああ、これで本当に嫌われちゃったかもしれない。別に、好かれたいと思っていたわけではないけれど、そうなったらさすがにへこむ。


「ありがとう、心配してくれて。ごめんね。あのあと、すぐにお母さん退院できたんだ。退院手続きに手間取って、あとバイトやお母さんのフォローで自分の時間がなくって。松波くんにも報告したかったんだけど、連絡先知らなかったから……」

「いや、報告する必要なんてないよ。僕はただの病院近くにある花屋の息子っていうだけなんだから。……でも、お母さんが退院したのだったら、もう花を買う必要はなくなったんじゃない?」

「今日はね、自分のために花を買いにきたの」


 
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