向日葵にさよなら。
「自分のため?」
「うん、だからね、松波くんに選んでほしいんだ。私に似合う花! あ、一本からでも買えるかな? 恥ずかしい話、お金がなくて」
恥じらうように笑う倉本はとても可愛くて、ここら辺にある花よりも華やかだった。
心が高揚しているのは、彼女に見惚れたからではなく、花を選んでほしいといわれたからだと思う。
どうして、彼女は自分のために花を買いにきたのだろう。
なぜ、僕に選んでほしいのだろう。その意図がまったくわからない。
でも僕は、不思議と、倉本の期待に応えたいという気持ちしかなかった。
「もちろん、一本からでもいいよ。じゃあ、選ぶから少しだけ待っていて」
「嬉しい! ありがとう」
倉本の視線を背中に受けて、彼女に似合う一本の花を選び始めた。