最後の恋 【番外編: 礼央目線】
結局、松野さんから俺に紫乃の事を尋ねてくることは…なかった。


時折、寂しそうな表情になる彼女を見るのは俺も辛かった。


きっと、紫乃がいなくなって彼女は傷ついたはずだから。


そんな彼女を見て、何度も俺から伝えようと思ったけど…


その度に、紫乃に言われた言葉を思い出して思いとどまった。


果たしてそれで良かったのか、もしかしたらまた間違えてしまったのでは…と考えることが幾度となくあった。


そんな彼女とは3年になって、急激に接点が増えた。


2年の時は一度も近くの席にすらなった事がなかったのに、いきなり隣の席になり図書委員も一緒になった。


少しずつ話せるようになり、やっと普通のクラスメイトになれた気がした。


だけど、やっぱり彼女の口から紫乃の名前が出ることは最後までなかった。
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