最後の恋 【番外編: 礼央目線】
「杏奈…」


なかなか戻らない彼女が心配になって、様子を見に立った。


「…真っ暗なところで何してるの?」


彼女は、電気も付いていない真っ暗な浴室で外を眺めるように座り俺の呼びかけに小さく肩を揺らした。


そんな彼女を見た時、なぜか無性に不安な気持ちに襲われた。


なぜだろう…彼女が遠く離れていくようなーーー彼女が俺の前からいなくなってしまうようなそんな気がした。


「あ、ごめん。夜景が綺麗だったから…ついぼーっとしちゃってた。」


こっちを振り返った彼女は微笑んでいるはずなのに、寂しそうで泣いているようにさえ見えた。


さっきタケル君の前で泣いていた杏奈を思い出す。


「杏奈…大丈夫?」

「うん…大丈夫だよ。…コーヒーでも入れるね。」


そう言って立ち上がり、彼の横を通り抜けようとした彼女に咄嗟に腕を伸ばした。
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