最後の恋 【番外編: 礼央目線】
抱きしめた彼女のぬくもりを確かに感じるのに、なぜこんなにも不安な気持ちが消えないのか。


彼女自身、俺にも言わず一人で不安な気持ちを抱えていたのだの思うと何も気づいてあげられなかった自分が不甲斐なくて情けなかった。


「杏奈が1人で不安を抱えてたのに、ずっと何も気づいてあげられなくてごめん。」

「謝らないで。黙ってた私が悪いんだから、私もごめんなさい。」

「これからは、どんな小さなことでも不安なことがあったら俺に話して。」


それでも彼女は一人でなんでも抱え込んでしまうだろう。


そんな気がした。


「…うん、そうする。」


彼女は確かにそう言ってくれたのに。


やっぱり彼女は最後まで俺に心を見せてはくれなかった。
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