小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「それでどうなの!?嫌われた!?」
そう、これが肝心。
あんな二重人格な小悪魔王子なんか、嫌われてしまえばいい。
ずっと密かに願っていたこと。
「何言ってるの、茉莉。嫌われるどころか、人気再向上よ!今またそのレアな玲央くんを見ようと、みんな必死なのよ!」
「そ、そんな……」
結城くんはどこまで王子様なんだ。
バレたところで、何も変わらない。
それどころか、もっと最悪だ。
「きゃあーっ、玲央くーん!」
「おっ、早速ダーリンのお出ましじゃない?」
外を見てみると、ちょうど結城くんが校門をくぐってきたところ。
今校内から叫んだ女の子は、どれだけ視力がいいんだろうか。
「もういこ、悠陽ちゃん」
「え、玲央くん見なくていいの?」
「いいの。興味無いから」
どうせ女の子に囲まれてニコニコしてるんだから、そんなの見てても時間の無駄。
私は横目で結城くんの姿を見ながら、その場を去った。