小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「このふたり、俺たちとまわってたんだけど」
「僕の茉莉に、手出さないでもらえる?」
「……ちっ、こいつら彼氏持ちかよ」
「それなら用はねーよ。行こーぜ」
私たちに声をかけてきたのは、やっぱりナンパ目的だったらしい。
「大丈夫?」
そう聞いた結城くんは、私とは全く目が合わない。
何も言えない私の代わりに、悠陽ちゃんが「大丈夫。助かった」と返事をした。
私は、ありがとうなんて言葉は全然出てこなくて……
ただ、"俺の茉莉"。
そう言った結城くんがわからなくて。
「ねぇ、一体どういう……」
「ならいいよ。本当にキミはバカだ」
結城くんは、私の話に耳を傾けようともせず、また私をバカにして。
背を向けて、人混みの中へと消えていった。