無駄な紅葉は散り濡れる.

「咲子!」

あたしの名を
何度も呼ぶ声に
思わず反応してしまった。

「征人…さ…ま……」 

帝の前だから
敬称をつけるだけの
頭の整理は出来ているのに
出来てないのだ。

自分が誰の名を呼んだのか
分からない

何をつぶやいたのかも
分からない




ただ愛しきあなたが
あたしの名を
呼んでいる
 

それは事実で


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