全ての記憶を《写真》に込めて

「てっきり付き合ってるかと思ってたのにな〜」
「俺が誰かと付き合うと思う?」
「思わないかも」
なんて笑いながら話すふたり。
瀬凛さんと呼ばれた人の本名は真依さんだと言う。去年高校を卒業したお姉さんだ。

「あんたの方こそさっきから不機嫌そうな奴と付き合ってんのぉ?」

私の前に座る琥珀色の瞳の男の人。
さっきからずっと不機嫌そうな顔だ。
私も話すべきなのかわからないけど知らない人だし、何を話したらいいかわからなかった。

「えっ、あっ……ぅ、つ、付き合ってる…よ…?」


ね?と確かめるように真依さんは横の男の人の袖を掴む。
だけど、無反応。

「お、怒らせちゃったかも………ごめんね、千紘くん」
「なんでボクが怒ってるのか分かってるのかな?」
「えっと………、」
真依さんは目を泳がせてから恐る恐る口を開いた。
「……凛桜くん、じゃなくて和久井くんと仲良くしてるから?」
「正解だよ しかも相手はボクが出会う前からの知り合いなんだろう?妬いちゃうよ」
「で、でもね、久しぶりだったんだよ!高二の春以来だよ」



「なんか、すごく仲いいね」
「ほんと、やるならよそでやってよねぇ」
なんて二人の邪魔にならないように小声で話す。
「でも、真依さん可愛いよね〜」
「モデルは顔が良くないとダメだからね」
「晴くんから見ても真依さんは可愛いでしょ?」
「うん、そうだねぇ」


_______________チクッ。





なんだろう。
モヤモヤするし、晴くんが答えた瞬間痛かった。
細い針を刺されたような痛み。

「なに、ぼーっとしちゃって」
「あ、ううん!何でもないよ」




自分の手のひらを見てみる。
別に手は動く。痛みはない。
手以外にも以上はない気がする。
だけど、やっぱり少し痛みを感じる。


「あ、り…じゃなくて和久井くんは、」
「言いにくかったら別に凛桜でいいけどぉ」
俺も瀬凛って呼ぶしさ、と晴くん。
「うん、凛桜くんは茉璃ちゃんにあった?」
「どっかに引っ越したんでしょ」




二人だけで知らない会話。
私はついていけないわけで。
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