全ての記憶を《写真》に込めて



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目の前には人がたくさんいる。
そんな中、アリスの衣装をまとったこいつはすごくかたくなっていた。

あー、まぁ緊張するよねぇ。

俺は結構モデルの頃でなれてたし。
でも一般人にとってはこの人数はキツいかも。
しかも、童話の世界観ねぇ。

アリスってどんな物語だっけ?

考えながら、二人で歩くべきところを進む。
もちろん、こいつの隣を、歩幅を合わせて。
途中で叫ばれるお願いにもきちんと答える。


「和久井くん!!!!!こっち向いて!」
「手を振って!!こっち!御国さんも!」
「ウインクしてぇぇえ!」
「カメラ目線!」


女子からの声が多いかもねぇ。

まぁ、こんなことをしながらもアリスの世界観が出るように考える。


ウサギがアリスを案内するんだっけ?
あれ?連れていくんだっけ?


そもそも二人でアリスの世界なんて無理じゃない?



まぁ、どっちでもいい。


いい考えが浮かんだ。



「彩月、ちゃんと付いてきてよねぇ!」

名前を呼ぶ。
急に名前を呼ばれて肩を跳ねさせたこいつ。
そんなことお構い無しに手を引く。

舞台から降りる。

走る。
人の群れをかき分け。

「ちゃんと案内してあげるからねぇ」


「は、晴くん!?」



アリスはよく知らないけど、どこか別の場所にアリスを連れて行けばウサギとしての役割が果たせるんじゃないか。


まぁ、オレが抜け出したいだけかもねぇ。。





あの、元マネージャーが向けるレンズから。
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