全ての記憶を《写真》に込めて
そして、ルールを説明してもらった。
ただ、その童話の世界観が出せればいいらしい。
それを見ている人が投票するみたいだ。
「ど、童話の世界観?」
「そういうの事前に行ってよねぇ」
何も考えてなかったじゃん、と毒づく晴くん。
「仕方ないだろ、言うの忘れてたんだし」
「翔の責任だよねぇ、それ」
「知ってる」
悪いな、と星が出そうなくらい綺麗なウインク。
そしてまた蹴りを入れる晴くん。
「ま、まぁ彩月ちゃんいるんだったら大丈夫だろ?もう彩月ちゃんでアリス感出てるから」
「えぇ!?」
全然大丈夫じゃない気がする。
「まぁ、なんととかよろしく」
と、ステージ上に押し出される。
茉莉ちゃんがいた。
お兄ちゃんもいる。
「は、晴くん…、どうする?」
「やるしかないよねぇ」
ため息をついて、晴くんが前に出る。
やはり、モデルだったから、だろうか。
人に見られることを、職業としていたから、だろうか。
マイクを使い、観客の方へ。
『ちゃんと最後まで見て言ってよねぇ』
そう言ってから、私の方を振り向く。
『ほら、可愛いアリスさん 俺にしっかりついてきてよ』
そのまま手を引かれ、舞台の中央へ。
「緊張しないで、力抜いて笑ってればいい」
「う、うん」
そう囁かれる。