全ての記憶を《写真》に込めて

前に殴られたところがじんじんする。
「彩月ちゃん、大丈夫?」
優璃ちゃんが心配そうに見つめる。

「ちょっと頭痛がするだけだから、大丈夫だよ」

「でも、顔色悪いし…」
保健室、まで言ったところで椅子が後ろに髪を引っ張られた。

「晴くん…?」
「あんた無理してるんじゃないよねぇ」
「そう、和久井くんからも言ってあげて」
「無理してないよ…」

別にただの頭痛だもん。

「保健室にいっててきなよ、なんなら俺もついて行ってあげるしさ」

でも、そんなこと言われたら。

「じゃあ、少しだけ……」

我ながら思う。
晴くんが、素敵すぎるよ…っ。

晴くんと一緒にいることを望んでしまう。

「先生にはちゃんと行っておくから後からゆっくり出てね」
まだ朝の会中だから、と優璃ちゃん。

頭痛がする頭を抱え、保健室へ。


「貴美先生」
「あら、今回は倒れてないわね」
「ちょっと彩月寝かせてください」
「えぇ、分かったわ 好きに使ってちょうだい」
「えぇ!?晴くん、ちょっとだけじゃ…」
「いいから寝る!」
と、無理やり布団の中へ。

すると、だんだん眠気がやってきた。

「ふぁあ、ふ………」

頭が痛い、余計そのままで堕ちてしまいたくなる。

ちょっとだけ。
10分後くらいに起きればいい。
そしたら、頭痛も治ってるはず。


そう思い、深い眠りについた。
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