全ての記憶を《写真》に込めて
「じゃあ、気をつけて帰れよー!」
先生の号令でみんなが動き出す。きっとみんな部活なのだろう。
「彩月、じゃあね!一緒に帰れなくてごめんね!」
「ううん、大丈夫 部活頑張って!」
「ありがと〜」
茉莉ちゃんは演劇部に所属しているらしく、一緒には帰れない。
翔くんは、いつも帰るのが早い。翔くん曰く、“俺モテモテだからさ〜”だそうだ。翔くんはカッコイイもんね、納得。
いつもなら晴くんも早く教室を出て、私は保健室に向かい、誰もいなくなったことを見計らって迎えに来てもらう……………と、うことだったんだけど。
「晴くんは帰らなくていいの?」
「別に俺がいつ帰ろうが俺の勝手でしょ」
「親御さん心配しちゃうよ?」
晴くんが保健室にいる。いつもなら保健室に残っている生徒は貴美先生が帰らせるんだけど、今日は貴美先生は出張だ。
「一つ目のお願いを思いついたんだよねぇ」
「ん?…私に出来ることなら何でもするよ」
保健室の椅子で向かい合って座る。
「これから一緒に帰ること」
「え?」
「ほら、良いでしょ そうと決まれば帰るよぉ」
「わ、私親にいつも迎えに来てもらってるから…………、一応連絡入れるね!」
早くしてよねぇ、と言いながらもゆっくり待っていてくれる。なんで私なんかと一緒に帰りたいんだろう。
_______________理由は帰り道にすぐ分かった。