全ての記憶を《写真》に込めて
帰り道。今まで歩いて帰らなかったから晴くんと同じ道だとは思はなかった。
だけど、いつもの静かな車の中とは違って騒がしい。
「ねぇ、あれタチバナリオじゃない?」
「えー、嘘!あ、ほんとだ!」
「やばっ、写真!」
「えっ、隣彼女!?」
「きっとそうだよ! 小さいからお人形みたい」
「えっ、リオ様に近づくなんて許せないんだけど!」
「うざっ」
「は、晴くん?」
「ちょっと付き合ってねぇ」
そして、手を引いて女の人達の間を縫って通る。
「あ、あの!隣彼女さんですか!」
晴くんの前に立ちはだかった女の人達。
違う、という前に晴くんが前に立った。晴くんの背中から見えた景色は異様だった。女の人だったら分かる。だけど、男の人までもカメラを構えたり、録画したりしようとしている。
_______________晴くんが元モデルだったから……?