全ての記憶を《写真》に込めて
「彩月!どうしたの?」
ちょっと階段を降りたところで、私と晴くんが来ていないことに気づいた茉莉ちゃんが声をかけてくれる。
「なんでもないけどぉ、ほらさっさと行く」
「え、うん!」
「二人で隠し事はダメだよ〜、私にも教えてね!」
「隠し事は教えないからねぇ」
ね?と同意を求められる。
こ、これはどうやって答えた方がいいのかな?晴くん?茉莉ちゃん?
「あっ、翔くんがいないよ!」
「あ、ホントだ」
「翔はどうせ女でしょ」
「さっき綺麗な先輩通ったしね〜」
良かった……。
嘘つくのはダメだし、かと言って本当のことを言ったら晴くんに悪い。
上手く、ごまかせたかな?
「お腹いっぱいになって眠くなってきたね」
「彩月も眠くなってきたの?授業中寝ちゃう〜?」
一緒に、と付け足されるが断る。
「起きていないとダメだよ?勉強は学生の本分です!」
「そうだね〜」
「俺は別に勉強しなくてもいいんだけどねぇ」
そんな他愛ない話をしながら教室に戻る。
でも、正直いって本当に眠い。