愛されたいのはお互い様で…。

ブー、…。あ、務。

【そろそろ読んでくれましたか?】

務、敬語なんて…。

【今、丁度、読み終わりました】

タイミング凄いね。こんな感覚、不思議なところがあるよね…。
私も何となくもう敬語になってるし。…微妙な距離感…何だか急に他人行儀…。でも、そうじゃないと話せないかな。

【有難う。それから、ごめんな。
傷つけておいて図々しい事を言うけど、俺の気持ちは、今でも紫の事、好きだからな。俺の一目惚れ、なめんなよ。
紫が俺に不安を感じていたのは俺の責任だから、その部分では後悔してる。
自分の会社でバレないようにしようとしたら、紫にまで説明不足にばっかりになって。全然器用じゃないよな、本当】

【前にも話したけど、私だって駄目だったんだよ。一つ一つ聞けば済む事だったんだから。それをしなくて悪い妄想ばかりして勝手に不安になったんだから。信じてないと思わせてしまったから。
こんなに一杯謝ってくれて有難う。文字だけの事だなんて思わないから。気持ちの入った言葉だと思ってる。…私ね、まだ聞きたい事があるの】

【なに?】

漢字じゃない“なに”が優しく聞いてくれているように思えた。

【今更だから、嫌だったらいいからね。
あのね、務が違う匂いがした日の事…あれはホテルのボディーソープの香りで間違いないよね?】

…。

【ああ、そうだな】

やっぱり。

【何故?…駄目?ホテルに行った目的を聞いては駄目?】

【それはもう、言わない方がいいだろ】

【仕事上のお得意先のホテルに、…いいホテルだから、部屋の見学に行ったんじゃないの?】

私の思ってる事と違う?この想像は間違ってる?

【宿泊もしてみてくださいって言われて、ロイヤルスイートとかに、泊まったんじゃないの?】

…。
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