愛されたいのはお互い様で…。

【伊住さん。務の部屋を訪問してもいいですか?何て言ったらいいか上手く言えないのですが、話をします。多分】

…、伊住さん。変な事言ってるから…。これって可笑しい事だよね。

「務、返信が来ない。当たり前よね、可笑しい事言ってるから。ちょっと電話してみる」

RRRR…。

「…出ない。留守電になっちゃう。だから、…駄目ね」

「ちょっと貸してくれ。俺にメールさせてくれ」

「え?だってメールじゃ、務だって解らないよ…」

「とにかく、貸して」

「…う、ん」

【葉月務と言います。紫さんから言ったら立場は元彼です。なりすましではありません。何もしません、紫さんと話をさせてください、お願いします】

…。

「務?何を言ったの?」

「ん?紫の元彼です、何もしないから話をさせてくださいってお願いした。…ほら、これ」

務…。

ブー、…。来、た。

【紫さんは話が終わったらちゃんと部屋に帰ってください】

…いいって事だ。

「…務」

「いいみたいだな」

「…うん」

「じゃあ、部屋に上がるぞ」

「待って…どうして…」

「はぁあ?話、するって、今言っただろ?俺達は、大事な話を紫のメールで終わらせてるんだぞ?
そんな終わりは駄目だ。同じ話をする事になってもちゃんと話して終わらせよう。許可は貰ったんだ、大丈夫だ」

上がるぞと言わんばかりにエレベーターに引っ張り込まれた。

「…務」

「…何もしないから、約束は守るから心配するな。紫は今はもう靴屋に操をたてているだろ?」

もうボタンを押していた。
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