愛されたいのはお互い様で…。
【週末は丁度花火の日になりますね。土曜日ですから一緒に屋上で遠くの小さ〜な花火を見ましょうね。
浴衣はお持ちですか?無ければうちにありますから。着付けも出来ますからご心配なく】
あ、伊住さんだ。そうだ花火があるんだった。
伊住さんの家に行くって決めたら、務からのこのプレゼント、持って行く訳にはいかない。
捨ててもいない、箱は開けずにそのまま置いてある。あの日、開けると、何やら胸がざわつくに違いないと思ったからだ。
直ぐ伊住さんが迎えに来るってなったから、しまい込んだままだった。
しまい込んでそのままで居られたという事は、このプレゼントに揺らぐ事はない、という事だ。
…大丈夫だ。
【浴衣、私も持ってるんですけど、少しずつ荷物もそちらに持って行かないといけないし。そう思ったら持って行くんですけど】
【私はどちらでも。紫さんがうっかり忘れても大丈夫なように出しておきましょうね】
…もうすっかり忘れ物をする人間だと思われてしまった。
今まで聞いた事はなかった。
【今夜、うちに来ますか?】
何だか聞くのってドキドキする。不意にと言えない程、毎日決まったように伊住さんは来てるのに。
【嬉しいですね。お泊りの都合を聞いてくれるなんて初めてですね。
今夜は行きません。金曜まで我慢します】
あ、…え、どうしたんだろう…。急に引くなんて何だか変。
何かあったんだ。来ない理由を言わないところが何かあった証拠だ。