愛されたいのはお互い様で…。

「…きっと、嫌な気分にさせてしまう話だけど、していい?」

「ん?う、ん。何でも言ってくれ」

だったらしなきゃいいんだけど…。

「貰ったプレゼント、開けてはないけど、あれは指輪だったよね?それと…多分誕生石のペリドットの…当たってる?こんな事、言われるのって嫌よね。…普通なら、折角なのに何だよ…、って思ってしまうような事。もう言われたくない話でもあるし…」

「…ああ、まあな。読み過ぎだろってね」

「…うん。ごめんね。誕生石のペリドット、どんな意味があるか知ってる?…多分知ってるよね。
…夫婦の幸福、って意味があるの。今の私が務から貰って持つにはふさわしくないし、意味を考えなくても、今の私達の間で貰っていい物じゃない…。でも、もっと前…違うか…こんな風になっていない時の誕生日プレゼントだったら…。
もしかして、これから先の幸せの証しとしてくれたのかな…みたいに思ったと思う。これは二人にとって、とても意味のある指輪だって…。凄く嬉しかったと思う。
…嬉しくて開けて、務に…嵌めて貰って…、ねえ、もし一緒に暮らすなら、夫婦の幸福って意味、いいよねって、きっと話して喜んでた。夫婦というのは、パートナーと読み替えても同じだもんね…。
……私は自分がよく解らないの。務がずっと好きって言ってくれてるのに。自分だって出来た人間じゃないのに。…不安になるの。好きなのに、不安になるの。好きだから不安になるの。欲しいのは安心って事ではないの。不安が欲しくないの。
私も務に対して足りてなかったモノに、まだちょっとだけど、気がついたの。私は私で、好きって解るように務にいつも表現してなかったなって…。たまに可愛く甘える事だって、全然出来てなかった。
それって務はどうだったんだろうって…。自分ばっかりか?って思わなかったんだろうか…。
私の気持ちが解らないって思ったことはなかったんだろうか。務は好きって、私より現してくれていたのに。私のは全然解らなかったでしょ?…好きだったのに、本当に好きだったのに」

「そんな事ない。そこは性格の問題だろ?言葉や態度に出してくれないと寂しさは確かにあるだろう。解んないだろうけど、意味なくちょっとしてくれた動作が逆に凄く嬉しかったりする。表現は下手でも気持ちは解る、伝わる。伝わってた。それは相手を見てれば解る事だよ」
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