愛されたいのはお互い様で…。
「…務」
「…紫が解らないって思っていた事だ、宿題の答え、解ったか」
「…うん」
「…そういう事だ」
「うん。間違いじゃないと思う。だけど確かめたい。今更なんて思わないで。ちゃんと務から聞いて確かめたい」
…。
「ホテルの話は、誕生日に一緒に泊まるつもりだった、その下見?合ってるでしょ?」
「…ああ、でもな…」
「待って、…まだある。それだけじゃない、でしょ?…今から聞く事が…もっと大事な事」
…。
「そのホテルで、いつか…披露宴をしようと考えていた?」
…。
「…そうよね?」
「…そうだよ。先に勝手に決める訳にはいかないけど。そういう関連した事、知っておかなきゃ、いざという時、色んな具体的な話も出来ないから。
結婚するとか、しないとか、籍を入れるとか入れないとか、まだちゃんと話した訳じゃない。…なかった。だけど、ずっと一緒に居たいって紫は言ってくれた。
それは、もし結婚という形が嫌なら、事実婚のようにしたっていい。…紫のドレスを着た姿だって見たい…。披露宴が大袈裟だっていうなら、写真を撮るだけだっていいと思った。
白いドレスを着たり、着物を着たり、何着だっていい…紫の気に入った物を納得いくまで選んで…」
…務。どうして言ってくれなかったのよ、とは言えない。内緒にしていたかったって部分がある。その気持ちがよく解ったから。
もう、責めるみたいにも言えない…。
「…務…有難う、……ごめんね。…ごめんね」
泣いちゃだめだ。
「内緒にしておきたい事とか、それとは別に、不安にさせない為の話が足りなかった事とか、どれ一つ…、バランスが悪くて…。はぁ…本当、上手くいかなかったな…」
…どうしてなんだ。どうしてこんなに…俺は下手くそなんだ…。
今、全部解ってもらえたのに。