愛されたいのはお互い様で…。
「じゃあ、偶然会ってサンドイッチを買って帰ったのは、本当の事を話さないつもりで、無理して食べる為だったの?」
「いや、話さないつもりとか、別にそんな事、考えてなかった。それに、無理じゃない。実際、お腹に溜まるような物はあまり食べなかったから。買って帰ったのは何の策略も無い、素直に小腹が空いてたからだよ?」
「ふ〜ん。簡単に事情を言ってくれたら良かったのに」
「そうだな…何となくの罪悪感だったかな…。やっぱりさ、一緒にご飯する場所だったところを、そのまま別の人と利用したっていうところが…さ。そんなの聞かされると何かちょっと嫌な気分だろ?」
「ん…私とは駄目で、仕事と証して使ってるじゃない…って、言う。恨みぶしみたいな?フフフ」
「ほら、それだよ。そんな風にちらっとでも思ってしまうだろ?疑うし」
「…うん、ちょっとね。聞けば大した事じゃないよ」
だけど…、どこか疑ってしまいたくなるのは、相手が私の知らない女の人だから、だ。
「嘘も隠しも無い。言った通りの事だから。変にこれ以上勝手に勘繰るなよ?元々そんな風に悩む事じゃないから」
「うん。解ってる…ごめんね。見た時…、約束の時間からきっちり女の人と一緒なんだ〜、とは思って見てたから、フフフ」
「あ、もうほら…。そんな風にずっと言うだろ?…怖」
「だって…務は事情を言わないし…私も聞かなかったからいけないんだけど。普通ああいうの見たら…、私はその内、終わりだって務に言われるのかな…って、そこまでちょっとは覚悟したよ?…楽しそうにしてるように見えたし…」
「あ…紫……馬鹿…何言ってる。何、確認もしないで…そんな事、勝手に思ってるんだ。有り得ないからな?…さらっと疑問を聞いてこれなかったっていう…俺達のそういう関係性が良くないんだな……」