愛されたいのはお互い様で…。
「違うの…行けなくて悪いなって思ってる気持ちが、ちょっとでも楽になればいいかなと思ったの。私も同じだからって言えば…少しほっと出来るでしょ?」
「紫から行けなくなったって聞かされた時は、そうか、なら仕方ないかって、素直に思ったよ?仕事だから、お互い様だなって。
そんな事まで気を遣わなくていいんだよ。せっかく約束してたのに行けなくなった俺が悪いんだから。何も…そこまで気を回して優しくならなくていいんだぞ?
逆に、もう、なんで今日に限って駄目なのよ〜別の日にならないの?なんて、言ってもいいんだから。自分の心の負担を増やしてどうする…。
こうやって真相を聞かなきゃ、俺は、紫の言葉を真に受けて、紫も仕事で駄目だったんだとずっと思ってしまう。
そしたら、そもそも平日、待ち合わせをする事も、無理なんじゃないのかって思いだすだろ?
どうせまた駄目になるなら、そうまでしなくてもって、約束する事を段々止めていくかも知れないよな」
…そうか。駄目ばかりになる元か…。それは嫌かも。
「だから、あった事、起きた事は、そのままでいいんだ。ありのままでいいんだよ」
「…うん」
「自分が可笑しくなりそうな優しさとか気配りなら要らないから。そのままが一番、解りやすくていいんだから」
「…うん」
「俺は紫のそういう、自己犠牲して頑張ろうとしてくれるところ、有り難いと思ってるよ。紫なりの思いやりだもんな。でも無理はしたら駄目だ」
「…はい」
「うん。俺も、店に行った説明をしなくて悪かった」
「ううん。それは解決。終わったから」
「余計な心配をさせた…ごめんな」