愛されたいのはお互い様で…。
「オールラウンドプレイヤーにはやっぱりなれないな…」
気遣っても、どこかで、もしかしたらって不安になってるんだもの、懐が広い人にはまだまだなれないって事よね…はぁ。
「ん?別に今のままでいいよ。って言っても、嘘の思いやりは無しって事で」
「…うん」
何だか、問題って程では無いけど、ちゃんと話すのって、やっぱり大事なんだな。
「ん?」
「ん?何でも無い。討論は終わりって事ね」
「ハハ、討論ね」
「…今日、泊まってもいい?…大丈夫?」
「ん」
務の身体に腕を回した。
「もう…眠くなってきたから、帰るのが…億劫に…ごめん、ね…ごめん」
「フ、…眠くなくても泊まればいいんだよ。……紫?」
あー、もう眠ったのか…疲れたのか…。こっちに来た時はいつも泊まろうとせず、紫は律儀に帰る。めり張りというのか、ずるずるしたくないのか、特に聞いてみた事は無いけど。
おつき合いしてるって状態だけだからかな。先の事…まだ話した事がない。何を決めて、こうしてずっとつき合っている訳じゃないから。結婚とか、考えないことは無いよな…。俺らは、若いって訳じゃないから。
どういうスタンスでつき合ってるのか。それなりに、先のこと考えるよな。特に紫は女だから。言い出し難くて…一人で考えてるんだよな。