愛されたいのはお互い様で…。

「務と会う約束をしてから、…ここに確かめに来て、それから部屋に帰って、ここに来るまでの間、靴屋さんがうちに来てたの。
靴が出来たって、突然持って来てくれた。
私が馬鹿みたいに気に入って、作って貰う事を頼んでいたから。少しでも早く見せに来てくれたみたいだった。
本当はね、靴屋さんの家に居る間に、仕事場を覗いて見るつもりだったの。私はまだ途中経過で、出来てるなんて思ってなかった。だけど、急いで、靴屋さんを出て来たから、仕事場を覗いて見るって事は忘れてた。出来てたみたい…だから持って来てくれた。
開けて見て嬉しくて、履いてみて、また嬉しくて、…気を抜いていたところはあったと思う。だから…。はぁ…、ごめんね。私が悪いの。…だらしなくて。隙を作っちゃ駄目なのに。
…今日、務に会えて、聞けてなかった事聞けて良かった。有難うごめんね。もう帰るね」

もう終りだ。こんな疑ってばかりの私とは…。それに…不安定だからって流されてる…。私に信用なんてない。

「紫、…何しに来たんだよ」

…。責められても仕方ない。

「俺の事、問い詰める為に来たんだろ?何、目的外の事言って勝手に自爆してるんだよ。
確かに、外泊したのかって聞いたよ。どこに行ったのか心配だったから。そして話してくれた。全部正直にだろ?だからそれはそれで終わり。また不安にさせてた…。紫の言った事、俺は信じてる。
それにキスの話をくっつけてまた話す必要は無い。キスの話は…、最初に俺がガルガル言ってもう終わってる事だ。そうだろ?」

私…自棄になってしまってるから。駄目だ。

「ごめん、…帰るね」

掘り起こして話せば話す程、私は務を疑って信じてないって事を言い続けてしまってる。それが勝手に思い込んだ事でも、相当酷い事を言ってる。傷つけてばっかりなのは確か…。

「真っ直ぐ自分の部屋に帰るなら帰れよ…。どこかにふらふら行き着くなら…帰るな」

「…帰ります。ちゃんと部屋に帰るから」

「…うん、解った」
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