愛されたいのはお互い様で…。

「要らないって解ってるなら、当たり前に二人分買って来なきゃ良かったのに…。務が食べないなら残っちゃうのに」

「今晩にでも俺が食べるから、いいんだ、後で冷蔵庫に入れとくよ」

「…うん」

…。

「紫…、昨夜はどこに泊まったんだ?」

え?…一難去ってまた一難?トータルで悪いのは私ばっかりになりそうだ。部屋に居なかった事は知ってたんだね。

「昨夜は靴屋さん家に泊まりました。私が店を出て、雨に濡れて歩いていたところに声を掛けてくれて…」

「はぁ…紫、…あのな」

「解ってる。…解ってます。だけど、何も…、自分の中で、務の本当の事が解らないって思ってしまってたから…。
店の中で、二人が好意的に笑い合っているのを見たら、何だか途方に暮れたみたいに…、どこか寂しくなった…。あ、だからって何かあった訳じゃないからね。そこは潔白。
二人の関係性とか、事情なんて知らなかったから…、だから勝手に想像したの。私…そんな事ばっかりしてるんだよ…。変な風にしか考えようとしなくて。
私が部屋に帰って無くて、そこに、もし、あの後で務が来てくれたら、居ない事に、何か連絡があるのかなって…、ごめん。務の気持ちを測ったの。
だけど、朝、メール見たら、務、傘の事しか知らせて来てなかった。
たった一言なのに…、寄ったけど居なかったな、は、無かった。だから余計勝手に邪推してしまった…。そんな一言が無いからって務が女の人とずっと一緒だった事にはならないのによ?考え方が極端に偏り過ぎだよね…。
靴屋さんでシャワーを借りて濡れた身体を流した。色々話している内に眠ってた。目が覚めたらベッドに寝てた。ご飯が出来たからって、朝食をご馳走になった。
それで私は、何か出来る事は無いかと思って、掃除機を掛ける事と、昼ご飯を作って帰って来た。
務に会おうとして、電話の後、早目に帰って来た。…ごめん。本当は部屋に居るんでしょって思って、務の部屋に来てみてたんだよ?しつこく、何度もインターホンを押した…。出ないのは居留守かも知れないって思った。二人で居るからなんだって。…あんなしつこくて煩いのは放っておいていいからって言って、…二人でベッドで抱き合ってるって、そんな事も想像して思ってた…。
酷いでしょ?…。勝手に妄想して決めつけてるんだよ?靴屋さんのところでは話した通り。それ以外何も無い。だけど、男の人の家で外泊をした事は確かです。聞かれるまで言わなくてごめんなさい」
< 71 / 151 >

この作品をシェア

pagetop