愛されたいのはお互い様で…。

「貴女は務とつき合っているのでしょ?
私、務の部屋を訪ねたら貴女に会いましたよね?確かに居ましたよね?貴方だって私とは初めましてではないとさっき言いましたよね?
務を出迎えたのでしょ?…先にスコープを覗いて…私だと認識して。わざとですよね?お帰りなさいって、はっきり言いましたよね?
それを務に言ったら、そんな事はないって、貴女は居なかったって、貴女を庇ったの…。私の話すことは信じて貰えなかった、ありもしない事を言ってるって。私はきっと頭がおかしいんでしょうね。
貴女に聞いたら、貴女は部屋には行ってないって言ったって。貴女のその言葉の方を信じたのよ?
…ご心配なく。私は務にさようならって言ったから。務はそれから何も言って来てないから。
だから、多分、それで終わったのよ。
良かったでしょ。目障りな女があっさり消えて。
貴女は私よりもずっと務の事が好きなんでしょ?…それを何で測って言えてるのか、私には解らないけれど、これからは、私の存在なんか気にせずつき合えるのだから、何も気にする必要はないでしょ?」

「…別れたのですか?」

「多分ね」

…。

「だからもう私との話はないでしょ?早く務のところに行って話したいでしょ?ここでの私との話。
私まだ食べてる途中だし、どうぞ?帰ってくださって結構ですよ?」

「…失礼します」

コーヒー代を置いて帰って行った。

…なんだか、店の前で声を掛けて来た時とは違うような…。
もっと…私にくださいとか、ガンガン言うつもりだったのが…私と務が終わったって解ったから、拍子抜けしたんだきっと。…そんな感じ。
…私があっさりしてたからかな。でも割と、嫌な強気の女風に言ったつもりだけど。
もっと修羅場を演じないと駄目なのかな。だけど、素直に話したらこうだったのよね。……どっちが先だったんだろう。今となってはどうでもいいけど。……。
言える立場にも、もう居ないし。

はぁ、…私の方がずっと好きって、…本当、何を比較して言ってるんだろう。
好きって言葉の回数?何でもしてあげる事?
私の好きの濃さを見たのか、知ってるのかってね。もう…食べよ食べよう。

サワークリームを添えて食べると美味しい…。夏限定メニューだ、これ。
…はぁ、夏の間に、もう一度来れるかな…。
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