愛されたいのはお互い様で…。
「私は知ってるんです。私と務さんが二人でご飯を食べているところ、通り掛かった貴女は見ましたよね?」
「はい」
それが?
「何故、入って来ないのですか?普通、自分との約束をキャンセルして、女と居たら乗り込んで来ませんか?」
「はい。普通が誰の事か、どの程度のパーセンテージなのか知りませんが、だとしたら私は普通ではないのだと思います。
その場に入って行く必要は無かったからです。後からですが、会社の人間と、仕事の流れで食事をしていたと聞いたら、別に問題も無い事でしょ?
…貴女にしてみたら、仕事をだしに?上手いこと務を言いくるめて一緒に食事をしたつもりなのでしょ?
形はどうであれ、二人っきりでの食事に違いはないですものね」
…私、何、頑張ってるんだろう。ちょっと張り合う気になってる?……悔しいからかな。
「お待たせしました」
時間の掛かるパンケーキがやっと来た。フワッと焼けてる。
「頂きます。あ、夏希さんでしたっけ、お話があるなら、どうぞ、続けてください。
好きなんですよね?務の事が」
…何を考えているのだろう。戦略でもたてているのだろうか。
「好きです。貴女よりもずっと好きです。務さんは仕事、とてもスマートに熟すんです。他の人とは違います」
ほぉ、では私が、仕事が出来る人だと思っていた事は間違いではなかったのね。教えて頂いて有難うございました。私よりずっと好きとか、基準にできるモノが明確に提示できるのかな。よく聞く言葉だけど。
「容姿だって…あんなに素敵な人には会った事ありませんでした」
は。いや、それは貴女の行動範囲の問題で…素敵な人は他にも居るでしょ。まあ、いい男に違いないけど。
「務さんに付いてずっと仕事を教えて貰っています。務さんは理路整然と厳しく教えてくれます」
それは普通です、当たり前の事でしょ。仕事なんだから。
「それで、何を言いたいのですか?務の事なら、貴女に語って頂かなくても大丈夫ですよ?
いつからのおつき合いなんですか?夜中に務の部屋に居るくらいだから、仲は深いのでしょうね」
…。
…あれ、どうしたのかしら?もう戦意消失?