クールな外科医のイジワルな溺愛


「ありがとう」

本当はルール違反だろうけど、この店ではこれが普通。ほら、おじいちゃんたちも好きなお惣菜を持って店員の前に列をなしている。

ひとり暮らしだもの、これだけでじゅうぶん。あとはラーメンが食べたい。ラーメンと餃子。おお、今日は贅沢だなあ。

特売のカップ麺をつかみ、レジへ。いつも通勤バッグに忍ばせているエコバッグを広げ、カップ麺と餃子を入れて店を出る。と、その出入り口に置いてある雑誌の棚に目がいく。

「本当にあったオフィスラブ特集……」

上段にあるファッション誌ではなく、下の方に並んでいる女性向けの漫画雑誌を手に取り、慌てて棚に戻す。

いかんいかん。結婚は求めていなくとも、ささやかなトキメキはほしい。それすらないと、生活に潤いがなさすぎる。でも、雑誌を買うのは無駄遣いだ。やめておこう。スマホで安く読み放題できる時代だしね。

ふらりと店の外に出ると、少し肌寒く感じた。今10月だっけ。外を歩くにはそろそろ上着がいるかも……。

それにしても、今日は疲れた。デザイナーやパタンナー、営業から見ればただの経理の事務なんて暇そうに見えるだろう。でも実際は雑多な仕事がたくさん。地味に疲れるんだから。

アパートまであと少し。のろのろと横断歩道を渡っていると、突然足がふらついた。


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