クールな外科医のイジワルな溺愛

「俺は何時になるかわからないから。腹が減ったら何か適当に食べろよ。待ってなくていい」

そう言って拳を出す黎さん。反射的に手のひらを差し出すと、渡されたのは冷たい金属。

「これ……」

二本のディンプルキーを簡素なリングでまとめられたものが、手のひらに乗っていた。これって、もしや合鍵?

そうだよね。お医者さんは担当患者さんの容態が急変すると、帰れなくなったりするもんね。私のように突然運ばれてきた人の処置をお願いされることもあるだろうし。

「何かあったらここに連絡して。出られるかわからないけど」

そう言い、先生は電話番号やアドレスが書いてあるメモまで渡してくる。そっとそれを開くと、マンションのエントランスを開く暗証番号も丁寧に書かれていた。指紋でなくても開けられるんだ。

「じゃあな。気をつけて帰ってこいよ」

私の頭を軽くなで、微笑んで周りに会釈する黎さん。身を翻すと、颯爽と車の方へ戻っていく。その姿を、すれ違うオシャレ人間たちが振り返って見ていた。

「ど、どういうことよ」

ナミ先輩が呆気にとられていた私を肘でつつく。

「お昼休みに説明します」

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