クールな外科医のイジワルな溺愛
目を覚ますと、まず真っ暗な天井に気づいた。
ここ、どこだろう……。何度も瞬きをし、首だけそっと動かして周りを見る。すると、そこには見覚えのある風景が広がっていてぎくりとした。
白く細長いテーブル。木目調の薄い色の床頭台。小さなテレビ。ピンクの点滴台。
反対側には、付添人が眠れるようにふたつ連ねてある重い緑のいすが。自分に付けられたモニターがピコピコと小さな音を立てている。
ここは見たことがある。よく知っている。このあたりで一番大きい総合病院の個室だ。
意識がはっきりしてくると、自分の右足だけが少し上に上がっているのに気づく。ベッドの上に台を置かれ、その上に固定されているみたい。動かそうと思っても動かなかった。
枕元に、クリーム色のナースコールが転がっていた。なんとか震える手を動かし、先端にあるオレンジ色のボタンを押した。すると壁から『うかがいます』とぶっきらぼうにも思える短い返事をして、すぐに看護師さんが部屋に入ってきた。
読書灯をつけ、看護師さんが私をのぞきこむ。くせ毛なのか、ボリュームのある髪を短く切った、丸いメガネの女の人だった。たぶん、40代前半だろう。
「気が付きましたか。こうこうがどこかわかりますか?」
まだ頭がぼんやりしている。そのせいか、ゆっくり話す看護師さんの声がくぐもって聞こえた。