クールな外科医のイジワルな溺愛

「大丈夫、実家と仲良くないみたいだから」

「え、それも大丈夫なのかよ。お前自身実家がないのに。医者って勤務が不規則で、土日もないだろ。そんなやつと結婚して子供ができたときに頼るひともなく、ケンカしても帰る実家もない。俺ならそんなやつとじゃなく、フレンドリーな実家がある男と結婚するね。例えば、俺みたいな」

親指を立てて自分を指し、キメ顔をする司。なによ、結局あっさり引き下がる気はないってことなの? それともただの嫌がらせ?

「余計なお世話よ。そもそも結婚なんてしなくてもいいんだから」

付き合って、適当な時期に結婚しなきゃいけないって考え方が古いのよ。ずっと恋人関係でも問題はない。

「まあ、そんなのお前の自由だし。でも一生の問題だぞ。よく考えろよ~」

顔の前で両手をひらひらさせて暗いオーラをこっちに漂わせてくるみたいな司。まるで悪い魔法使いみたい。

「わかってるわよ」

勢いよく踏み出そうとして、冷静になる。左足から、左足から。

司の方は振り返らずに会議室を出て、右足を引きずりながら経理部に戻る。

もう、なによ司ってば。やっぱり勤務時間内に仕事と関係のない話なんてするんじゃなかった。


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