クールな外科医のイジワルな溺愛
「いいや。はっきりしてスッキリした。ま、ちょっとはへこむけど……」
「ごめん」
「謝るなよ。ちなみにその彼氏って、何やってる人? まさか、社内とか?」
思いもしなかった質問に、一瞬戸惑う。だけどすぐに首を横に振った。
「違うよ。えっと……誰にも言わないでね。実は、ドクターなの」
「マジ? 医者? そんなのに敵うわけねーじゃん……」
司は私の彼氏、すなわち黎さんの職業を聞いて崩れ落ちるように近くにあった椅子に座り込んだ。
「もしかして、事故にあったときの?」
「そう。執刀医」
「すげえ……。花穂、医者の嫁になるのか……」
やっぱり世間的には、ドクターって地位の高い職業と言うか、特別感があるみたい。私も昔はドクターなんて雲の上の人たちだと思っていたけど、一緒にいると、けっこう普通の人と変わらないんだけどな。
「嫁なんて。そんな話、まだまだ……」
黎さんとずっと一緒にいられたら、素敵だと思うけど。白いタキシードの黎さんを想像して頬を緩ませた私に、司が言葉で平手打ちをかます。
「でもさ、苦労しそうだな。医者の一族に嫁ぐなんて。一般人の嫁って、セレブの姑にいじめ抜かれるイメージしかないわ」
……なぜそんなことを言う。悪気のない顔をしているけど、もしかして復讐のつもりなのか?
幸せな妄想は一転、意地悪な継母にいじめられるシンデレラな私の姿に変わる。