愛され過ぎて…ちょっと引いてます
そんな私とは対照的に、向井室長は少しだけ笑顔を見せて言葉を返した。

私に見せていた笑顔とは違うビジネス的な笑みを。

「すぐに戻ります。少々お待ち下さい」

サラリと言い切ると、「さあ千堂さん、行きましょう」とまた私にニコッと笑顔を向けてドアを開け、私に出るよう促した。

それに従って「失礼致しました」と副社長にお辞儀をしてから部屋を出ると、続いて向井室長も出てきた。

その顔の眉間にしわが寄っている。

「向井室長?」

つい気になって声をかけると、眉間に寄っていたしわは消えて室長の視線が真っすぐ私へと向いた。

でも...返事がない。

代わりに私の顔をじっと見ている。

副社長の圧のある視線とは違うけど、でもじっと見られるのはやっぱり恐い。

 ー私..何かしちゃったかな?ー

不安になって「あの....」と問いかけると同時に、向井室長が「千堂さん」と私の名を呼んだ。

「はい..」

「大変だと思いますが、これから千堂さんにはいろいろと覚悟をして頂かないといけないかもしれません」

そう真面目な表情で言った。

その言葉の意味がいまいち理解できず、つい口を開けたまま室長を見上げる。
< 12 / 39 >

この作品をシェア

pagetop