愛され過ぎて…ちょっと引いてます
「あの...室長。こんな事言ったらおかしいかもしれませんが、何故私が秘書室に配属されたのか私は不思議で仕方がありません」

「不思議ですか?」

「はい。秘書って高貴というか、私には知性や気品溢れる人が配属されているイメージで、私はそれに該当していないように思っているので」

そんな私の言葉を聞いて、向井室長は微笑んで見せた。 

「私はそうは思いませんよ。ああ、そう思わないと言うのは千堂さんが該当しないって部分です。確かに秘書には知性も気品も大切ですし、その他にもいろいろと求められることがあります。その点で千堂さんも合格点に達しているということです。それプラスあなたには人工的に作られていない透明感があります。役員のそばでいろいろな方に接していく上で好感を得られます。それも認められたのでしょう。私は人事にそう聞いていますし、私もそれに同意してます」

「透明感...」

「それは誰でも持てるものではないですしね。確かに外見が審査されることには賛否両論あると思いますが、それも含めて必要とされる業務があることも事実です。私は何に関しても評価されることはいいことだと思いますよ」

透明感という私には分からない表現に、どう答えていいか分からない。

でも自信のない私に秘書としての資質はあると言ってもらえて、少し安心することができた。

「頑張れそうですか?」

「はい、頑張ります」

「良かった、ではそろそろ行きましょう。副社長が待っているはずです」

私が納得したことを確認して席を立つ。

これから副社長室に向かうのだ。

「はい」

私も返事をして立ち上がり、向井室長の後につき会議室を出た。

「そういえば向井室長、昨日言っていた覚悟しなければいけないことって専属秘書の辞令のことですか?」

廊下を歩きながら私が訪ねると、向井室長は前を向いたまま答えた。

「そうですね...専属については私も予想していなかったのですが、大まかには同じようなことです」

意味の分からない返答に私が首を傾げると、室長は歩くペースを緩めてこっちを向いた。

「今は静観させて下さい。ただ度が過ぎたり、暴走したら私がどうにかしますので」

「何をですか?」

「すぐに分かると思います」

それだけ言うとまた歩き始めてしまったので、私もただ着いて行くしかなかった。

 ー何なの?一体何だっていうの?ー

また不安になるじゃないかー。
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