愛され過ぎて…ちょっと引いてます
「どうぞ」

会議室の中に入るように促され、奥の席に座るように言われて椅子に座る。

どうして会議室なのかな?と思っていると、室長が向かいの席に座った。

「急な辞令で驚かせましたね」

いたわりの声に弱音を吐きたくなる。

「はい。すいません、まだいろいろと理解できていません」

「そうですよね」

苦笑してみせる向井室長に、私も困惑の顔になる。

何でこんな事になったのか。

向井室長だって私が副社長の専属だなんて、絶対におかしいって思っているはずだよ。

考えたらもう止まらない。

ため息をついた私に室長は、「千堂さん」と名を呼び、少し身を寄せたので、私は背を正した。

「今回千堂さんの人事を決めたのは、副社長です」

「....え?」

今聞こえた言葉が鈍く頭を廻る。

でも意味を理解するに到達しない。

「千堂さんも不安ですよね。その気持ちも分かります。ですがこれも業務、ちゃんとした辞令なので千堂さんも頑張って下さい。」

「はい...でも何故私なのか全く理解できません。まだ何もできないのに、副社長専属なんて。副社長にも向井室長にもご迷惑かけてしまうと思うと....」

言葉の後尻が続かない。

専属なんてまだ先の先だと思っていたから。

「大丈夫ですよ。いきなり難しい仕事を任せるわけではありませんから。まだ千堂さんは入社したばかりですから、今まで同様少しずつ業務を覚えて頂きます。私が直接指導していきますから心配しなくても大丈夫です」

そう言い聞かされた。

私の不安を理解してくれて、フォローもしてくれる。

なんと説得力があるのだろう。

断る文句が出なくなってしまう。

これが仕事だと言われれば、私は従うまでで。

でも...室長が指導してくださるなら大丈夫かなって。

気持ちが少し楽になったので、前から思っていたこともこの際話してみようと思った。

室長はとても聞き上手なので、相談してみたくなる。

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