愛され過ぎて…ちょっと引いてます
「確かに副社長には困ったものですね。正直な話、千堂さんは迷惑してますか?」

「え?」

「もし千堂さんが迷惑だと思っているなら、いっそのこと振ってしまうのはどうですか?まだお付き合いされてはいないようですが、一度驚かせてみるのもいいかもしれないですよ」

向井室長のとんでもない提案にビックリする。

私が副社長を振る?そんな、とんでもない!
 
第一『好き』とか告白めいたものもされているわけではないし。   

それなのに私が振るだなんて、いったい何様なのって感じだよね。

うん、絶対にありえないよ。

言葉に出さず口をモゴモゴとさせている私に、向井室長は諭すように言った。

「副社長も舞い上がっているのでしょう。千堂さんに振られたからといって落ち込みはするでしょうけど、あなたの事を諦めたりはしないと思いますよ。それくらい夢中になられています。ですからお仕置きくらいはいいでしょう」

そんな風に向井室長に言ってもらうなんて恥ずかしくなる。

副社長が私なんかに夢中になるなんてことある?

いやいやいや....ないでしょ。

まだ短い期間だけれど、副社長に付いて甘い顔だけではなく仕事ぶりも見させて頂いた。

出来る人ってこんな人なんだなって感心と尊敬でいっぱいになった。

ハイスペックな男の人の働く姿は、なんて素敵なんだろうと惚れ惚れした。

そして橘 柊生という男性にどんどん惹かれていく自分にも気付いていたけど、それを口に出すことはできなかった。

「振るなんて...そんな図々しいことできません。すいません」

せっかく相談にのってもらっているのに申し訳ないと思い、頭を下げる。

すると私の左肩にそっと手が添えられた。
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