愛され過ぎて…ちょっと引いてます
頭を上げて向井室長を見上げると、困ったように少しだけ笑って見せた。

「千堂さんも優しい人ですね」

まるで慰めるかのように言った。

「いいえ、優しくなんか...」

優しくなんかないですと否定しようとしたところで副社長の部屋のドアが開き、「向井、これ..」と今朝渡した祝賀パーティーの招待状を手に持って出てきた。

そして私と向井室長を見た途端、目を見開き足を止めた。

「何しているんだ!」

今までに聞いたことない位に声を荒立て、大股でこっちに歩いて来た。

「何してる」

私の肩から手を下した向井室長にきつい視線を向け、問いただす。

そんな副社長に向井室長は「上司として部下の相談にのっていただけですよ」と淡々と答えた。

「いいですか?副社長のあからさまな行為を社の皆が目にし、噂が立ち困っているのは千堂さんなんです。ですからいっそ副社長を振ってやったらいいと提案したのに、優しい千堂さんはそれはできないと言うんです。それにこんな風にヤキモチから突発的に感情を露わにされては、千堂さんも振り回されてしまいますからね。あとは副社長にしっかりと考えて頂くしかありません」

バシッとそう言った。

相変わらず副社長相手にキッパリ物申す向井室長様。

なんと素敵なんでしょう。


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