お見合い相手は、アノ声を知る人
「息をしなされ!この世に生まれ出たお子よ!そなたの産声で母を勇気付けなされ!」
産婆も医師も御付きの者達もそう言って体を擦り合う。
しかし、お子の体は紫色になるばかりで、一向に息を吹き返さぬ。
「……ああ、駄目じゃ。この子は息をしてくれぬ」
医師は直行様を呼び、死産じゃった…と告げた。
咽び泣く当主にお子を預け、奥方様になんと言えばいいか、と目頭を潤ませた。
「妻には私から話そう。悲しむと思うが、黙っていてもいずれは知れる」
奥方様が気付けば呼べと申され、赤子の亡骸を手に縁側へと出た。
高々と月に赤子の身体を掲げながら、「生き返らせよ」と願い続けた。
誰もが無理なことと知りながら一緒に祈った。
ご当主の直行様も奥方様も、共に善き人達だったからじゃ。
その時、玄関先から大きな声が聞こえた。
「直行様は居られるか!居るなら是非とも願い給たいことがある!」
女中が駆け付けると、小作人の男が立っておった。
手には赤子を抱いておった。
「奥方様が難産じゃと伺った。無事にお子は生まれたのか!?」
産婆も医師も御付きの者達もそう言って体を擦り合う。
しかし、お子の体は紫色になるばかりで、一向に息を吹き返さぬ。
「……ああ、駄目じゃ。この子は息をしてくれぬ」
医師は直行様を呼び、死産じゃった…と告げた。
咽び泣く当主にお子を預け、奥方様になんと言えばいいか、と目頭を潤ませた。
「妻には私から話そう。悲しむと思うが、黙っていてもいずれは知れる」
奥方様が気付けば呼べと申され、赤子の亡骸を手に縁側へと出た。
高々と月に赤子の身体を掲げながら、「生き返らせよ」と願い続けた。
誰もが無理なことと知りながら一緒に祈った。
ご当主の直行様も奥方様も、共に善き人達だったからじゃ。
その時、玄関先から大きな声が聞こえた。
「直行様は居られるか!居るなら是非とも願い給たいことがある!」
女中が駆け付けると、小作人の男が立っておった。
手には赤子を抱いておった。
「奥方様が難産じゃと伺った。無事にお子は生まれたのか!?」