お見合い相手は、アノ声を知る人
少しだけ笑顔にもドキッとして、で、でも…と言葉を続けようとしたら。



「スープです」


ああもう。どうしてフルコースはこうも邪魔するように料理が運ばれてくるんだ。

その後も続きを話そうかとする度に料理が出てきて、それがまたどれも美味しいから口数も減ってくる。

美味しい料理なんかに絆されないぞ…と思ってても、やっぱり美味しい物は美味しい。


「ん〜〜!このメロンのシャーベットも最高~!」


デザートを食べながらやっぱり別腹だと思う。

向かい側に座ってる彼は感激して手を握りしめてる私を笑いながら見てて、その顔もまたご馳走の一つのような気がしてた。


「この後、一杯飲みに行くか?」


「えっ…」


「近くに美味い酒を出すバーがあるんだ」


「バー?」


「ああ、カクテルなんかも作ってくれる。今の時期なら梨とかブドウのカクテルなんかが出てくるかもな」


「梨…ブドウ…」


うううっ、果物には弱いんだよね。
日頃は値段も高くて、滅多に食べれない時も多いから。


「どうする?」


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