恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
桐谷さんはアフターファイブに女の子の相手をしない……。
初めて知った。
確かに先輩は仕事に厳しいから、もしかしたら社内恋愛は絶対にしないって決めてるのかな。
それともプライベートの時間には仕事は持ち込まないって主義とか。
……じゃあなんで私とはご飯に行ってくれることになったんだっけ……?
『夕飯って、仕事終わった後ってことだろ?業務時間内じゃなくて』
先輩は私が誘ったとき確かそう言っていた。
そう言われれば、少し困ったような表情をしていた気もする。
……あれ? もしかして、これって嫌がっている先輩を私が無理やり誘い出したことになるんじゃ……。
本当は迷惑だったのかな……?
「教えてくれてありがとうございます浅見さん……」
『もう、あとで結果聞かせてよねー!』
私達の内線が終わると、ちょうどそのとき桐谷さんがどこからか戻ってきて、私の向かいのデスクに座った。
そこが先輩の定位置だから当然なんだけど、顔を合わせるのが申し訳なくて目の前のパソコンとだけ向き合った。
本当は今日出掛けること、どう思ってるのかな……?
パチパチと会議の報告書をまとめていくけれど、たまにその向こうにある先輩の顔も視界に入り、ドキンと胸が鳴る。
「水野」
「はいいっ」
目の前のノートパソコンが手で少し倒されて、その向こうから先輩の顔がひょいと現れた。