恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
都内とはいえこの時間の地下鉄は空いていた。
私たち以外には酔いつぶれたおじさんと疲れきったサラリーマンしか乗っていない車内で、先輩と隣り合って座った。
仕事で一緒のときよりも、隣り合った私たちの距離は近くなっていた。
「桐谷さん。今日のプレゼン、本当に先輩の力がなくては通らなかったと思います。何回も言っちゃって申し訳ないんですけど、ホントにありがとうございました」
「だから水野の実力だっつーの。……あのさ、今日のプレゼンでも思ったんだけど、水野ってリフレシリーズが好きなんだな」
「え?はい。好きです。大好きです!」
「なんでなの?」
「リフレシリーズって、二年前にできたじゃないですか。私はそのとき店舗勤務で……色々と嫌になっていたんです。店舗の人間関係もいろいろあって正直辛くて」
「うん」
「ふと、肝心の自分が全然“スローライフ”を送れてないなってことに気付いたんです。それからは新商品が出ても好きになれませんでした。まるで私にはスローライフを送る資格はないって言われているみたいで」