恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
「サンキュ。なんか自分の作ったものをそこまで誉められると照れるな。二年前にリフレシリーズ企画したのは、俺だったからな」
「えぇ!? そうなんですか?」
「そのときは無理やり企画を通した。働く女性とスローライフが結び付かないって反対意見も多かったけどな」
桐谷さんが生活雑貨部門へ配属になったのは、たしか二年と半年前だと聞いていた。
それってつまり、私と同じ、配属半年での企画がリフレシリーズだったってことだ。
それがこんなに大成功して……。
「すごいです、先輩……。先輩はリフレシリーズが成功するって分かってて企画したんですか?」
「まさか。でもあのときは水野みたいな人に向けて商品を作りたかった。時間に余裕がない人間にはスローライフを送る資格がないのか、いやそんなわけない。そんな時代遅れな意識でいたらいつか世の中から見放される、そう思ったんだ。お前みたいに俺の狙ったとおりの考えで買ってくれる人がいると、気持ちいいよ」
ご機嫌な先輩とは対照的に、私はお酒のせいもあり感傷的になっていた。
やっぱり先輩は段違いにすごい。
自信も勇気もあって、なによりも自分の作りたいものが何なのかを常に明確に考えている。
私は既存のシリーズのブランド力に頼ったアイテムを企画するだけで精一杯で、それも、結局は先輩の作ったシリーズだった。
先輩は私と同じ半年でこのシリーズを企画できるほど優秀な人だったのに、対して私はまだまだ、先輩がいなければアイテム一つ売り込むだけで精一杯のヒヨッ子だ。
「水野?」