恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※


案の定、会議室はセッティングをしたままの状態だった。

オマケにプロジェクターは電源を消しただけでコンセントもつけっぱなしだし、イスも引いたり動かしたりのぐちゃぐちゃの状態。

まずはテーブルの配置をもとあったように並べかえようとするけれど、ひとりでは思ったように動かせない。

さっそく軽々と動かしていた先輩のことが恋しくなったけど、なんとか動して元通りにできた。

あとはこのプロジェクターだ。

これは営業部で保管しているもののはずだけど、そのフロアまでひとりで運ぶのは危険かもしれない。

置きっぱなしにしておいてもいいものなのかな。

今からでも先輩に聞きに行こうか……。

「あ、誰か片付けやってる?」

すると途中で、若い男の人が覗きに来た。

係長くらいの、桐谷さんと同じくらいの年回りの人だ。

「はい。あの、営業部の方ですか?このプロジェクターはどうすれば……」

「そう、俺それ取りに来たんだけど、ちょうどよかった。そのプロジェクターはうちのだから営業部に運んでおいて。10階のフロアの倉庫だから。精密機器だから気をつけて運んでね」

「あ、はい……」

「じゃあよろしく」

行ってしまった……。

片付けしてるところに来たんだから、一緒に持っていってくれたっていいのに。

桐谷さんだったら絶対に「持つよ」って言ってくれたはずだ。

ああ、いけない。

気がつけばこうやって先輩に甘えることばかり考えてる。

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