恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
最初に会議室の扉を開いてストッパーで留めてから、プロジェクターを我が子のように胸に抱え込み、どうにか三つ並んだエレベーターの前まで運んだ。
誰もおらず、プロジェクターを持ちながらなんとかエレベーターの停留ボタンを押す。
下へ行くボタンを押したのだが、下からやって来たエレベーターがひとつ、この階で止まった。
「わっ、水野?」
「えっ、先輩!」
やってきたエレベーターの扉が開くと、乗っていたのは桐谷さんで、私は突然のことに一歩後退りし、そのまま後ろに体が傾いていった。
「おい!」
「きゃっ……!」
まずい、転ぶ!
先輩が後ろに回り込んで受け止めてくれようとしたけれど間に合わず、私はそのまま大胆に尻餅をついた。
幸運にも、大事に大事に抱えていたプロジェクターを落とすことはなく、私は冷えた肝をホッと撫で下ろす。
しかし私が転んだことでその衝撃は伝わってしまったかもしれない。
意味はないかもしれないが、すぐにプロジェクターをさすった。
「水野!大丈夫か!?」
「は、はい、私は全然……でもプロジェクターが……」
そこへまたエレベーターがやってきた。
今度こそ私が乗ろうとしていたものかと思ったが、どうやらまた下の階からやってきたもののようだ。
「あれ、遅いと思って戻ってきたんだけど……何、キミころんじゃったの!?」
エレベーターから出てきたのは、先ほど会議室を覗きにきた男の人だ。
尻餅をついたままの私を見て、顔を歪ませている。
「あ、すみません……」
その人は私に手を差し伸べてきたかと思ったら、その手は私が抱えていたプロジェクターのみを取り上げて、それに傷がついていないかを念入りに確かめ始めた。
「いや困るよー、これ高いんだよ?気をつけて運んでって俺言ったよね?」
「はい。すみません……」
「いやすみませんって言われてもなぁ、壊れてたら困るんだよなぁ」