恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※


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九月三十日。

先輩の言っていた「今月」というのが、やっと今日で終わりとなる。

今月は忙しい、というのはやはり本当だった。

その証拠に、先輩は朝からすっかり忙しさから解放されていて、私の営業部との打ち合わせに付きっきりになってくれた。

「水野、よくできてた。すげーじゃん」

「ありがとうございます!」

最近の先輩は私のことをよく誉めてくれるようになった。

もちろん嬉しいけれど、腑に落ちないこともある。

以前はあんなに厳しく、私のすることには必ずたくさんの注意をしてくれていたのに、今はもう放任主義というか、
私の好きにやらせてそれを見守るだけになった。

なんだかまるで、先輩からの指導はもう終わったように感じるのだ。

「おーい、皆集まって。ちょっと通達したいことがあるから」

珍しく、部長が手を叩いて生活雑貨部門のメンバーを集めた。

ぞろぞろと皆が手を止めて部長席の前に集まってくる。

私は先輩のそばに行こうとしたけれど、先輩は椅子にかけていたスーツのジャケットを羽織り直し、なぜかそのまま部長のそばへと行ったのだ。

「いつもこの時期になると気になるだろうけど、実はあと数時間で異動が出ます。君たちには先に知らせておくけれども、うちからは桐谷くんが異動となるのでそのつもりで」

──え?

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